青い鳥症候群とピーターパン症候群

青い鳥症候群とピーターパン症候群は共にその名称の通り、世界の名作童話にちなんで名付けられらた呼称です。

ちなみに、テレビや新聞・雑誌なんかでもたびたび見聞きする『症候群』というのは、

はっきりした原因は不明だが、いつも必ず幾つかの症状が伴ってあらわれる時、病名に準じて使う医学用語。シンドローム。

グーグル

と、グーグル先生が検索結果のトップ表示で即答してくださいました。

ただ、“病名に準じて使う医学用語”となってるものの、同じように症候群と名の付く『睡眠時無呼吸症候群』や『慢性疲労症候群』などであれば納得しやすいですが、

青い鳥症候群やピーターパン症候群が正式な病気なのか?と考えるとそうとは言い切れず、個人的見解としては症状や現象における通俗的な呼称や概念と捉えるのがベターな気がします。

青い鳥症候群とは

そもそもは精神科医の清水將之さんの著書である『青い鳥症候群 偏差値エリートの末路』の中で提唱した概念であり、基本は「今の自分は本 当の自分ではないと考え、理想と現実のギャップを受け入れられず、職を転々とする状態のこと」なんですが、

青い鳥症候群の広義の意味合いをサクッと簡潔に述べると、

モーリス・メーテルリンク作の童話「青い鳥」の中で「主人公のチルチルとミチルが幸せの象徴である青い鳥を探しに行くが、意外と幸せの青い鳥は身近にあることに気付かされる」ことから、

「今よりもっといい人が現れる」「今よりもっといい仕事が見つかる」など現実を直視せず根拠の無い「青い鳥」を探し続ける人たちを指す通俗的な呼称である。

ウィキペディア(Wikipedia) 

とあるように、簡単にいうと日本の慣用句・ことわざである「隣の芝生は青く見える」と同じようなもので何でも他人のものはよく見えるといった思考が付きまとい、「今よりもっと良い〇〇があるはず・・・」という感じで現在の状況や既に手に入れているモノでは満足できずに理想を追い求め続ける人たちを指す概念です。

まぁ、「隣の芝生は青く見える」という感情よりも強力もしくは継続的に抱き続けている特徴を持った人たちを表す呼称なんだろうと思います。

ちなみにどうでもいいかもなんですが、先に「隣の芝生は青く見える」と書きましたが、辞書や事典で載ってる正式な慣用句・ことわざとしては「隣の芝生は青い」でした。

ついでと言っては何ですが、これまたどうでもいいのですが、同じ意味合いの慣用句・ことわざとして「隣の花は赤い」や「隣の糂粏味噌(じんだみそ)」があります。

「隣の糂粏味噌」なんて慣用句は今回初めて知りましたけど・・・これまたちなみに糂粏味噌は“ぬかみそ”のことらしいです。

ピーターパン症候群とは

ピーターパンは老若男女を問わずほぼほぼ殆どの人に知られている童話だと思いますが、永遠に歳をとらず大人にならない少年ピーターパンが主人公の夢あふれる物語です。

その主人公の名前が付いたピーターパン症候群(ピーターパン・シンドローム)の定義というか意味をこれまたサクッと簡潔に述べると、

1983年にアメリカ合衆国の心理学者ダン・カイリーが著した『ピーターパン症候群』(原題:Peter Pan Syndrome)で提唱されたパーソナリティ障害である。

大人という年齢に達しているにもかかわらず精神的に大人にならない男性を指す言葉。カイリーは著書の中で、ピーターパン症候群を「成長する事を拒む男性」として定義している。

ウィキペディア(Wikipedia) 

他の辞書や用語集なんかでも、ピーターパン症候群(ピーターパン・シンドローム)の特徴を調べると、

  • 現実から逃避する傾向のある現代男性の症候群。
  • いつまでも大人社会に適応できない男性の心的病理現象。

といった意味合いで定義されているように、夢があふれる童話の世界のピーターパンに抱く人物像とはほど遠いキャラ設定がなされています。

どうやらピーターパン症候群という括りでグルーピングされると人格面で問題視される事は多々あっても、「いつまでも少年のような心を持っていて、素敵!」てな感じの好印象で捉えてもらうのはほぼ厳しいようです。

なお、提唱したダン・カイリーが

「誰でも持っている問題の一種」であり、心理学・精神医学の正式な用語ではない。

と述べているように、程度の差はあるものの多かれ少なかれ社会(大人の世界)に適応できない部分もあると感じてる人が結構いるんではないでしょうか。

特に社会人になりたての年代の人がいきなり何の違和感も感じないまま社会(大人の世界)にフィットする方が稀で、様々な事柄に悩みながらも少しずつ社会に適合していくもんだと思いますよ。

青い鳥症候群とピーターパン症候群に共通する特徴と違い

青い鳥症候群とピーターパン症候群の共通点というかバクっとした捉え方で見ると、どちらも現状を受け止めることを拒んで逃避する(願望も含めて)という選択を優先している。単純に言えば個々の原因や理由はどうあれ現実逃避している人なんでしょう。

ただ、青い鳥症候群とピーターパン症候群の違いとして、

青い鳥症候群は広義の意味合いとしては「理想を求めて次々に新しいものを手に入れようとする傾向がある人たち」を指しますが、主に天職を求めて次から次へと転職を繰り返す若者を現す際に用いられるコトバであることから考察すると、大人社会への関わり自体を拒否しているわけではないようです。

一方のピーターパン症候群は広義の意味合いとして「精神的に大人にならない人たち」を指していますが、根底にあるのは社会的に自立したくない、いつまでも大人になりたくないといった気持ちがあることから、大人社会への関わり自体を拒否もしくは適応できずにいます。

無気力症候群(アパシー・シンドローム)

青い鳥症候群やピーターパン症候群というコトバが登場したのは1980年代ですが、これより以前の1970年前後に大学生を中心に何事に対しても無気力な症状がみられ非生産的な生活を送る無気力症候群(アパシー・シンドローム)という用語が使われ出すようになりました。

現在では学生だけに限ったわけではなく社会人でも同じような症状を呈する人達であれば無気力症候群と捉えられていますが、そもそもはアメリカの精神科医であるP・A・ウォルターズが大学生にみられる無気力、無感動の状態を指して『スチューデント・アパシー』と命名したことが始まりです。

まとめ

  • 青い鳥症候群とは、もともと理想の職業を追い求めて転職を繰り返す人たちを指すが、広義的には現在の状況や既に手に入れているモノでは満足できずに理想を追い求め続ける人たちを指す概念。
  • ピーターパン症候群とは、いつまでも社会的に自立した大人になることを拒否したり回避した大人になりたくない男性を指す概念。
  • 青い鳥症候群とピーターパン症候群は、どちらも現状を受け止めることを拒んで逃避する(願望も含めて)という選択を優先してしまう特徴がある。